開催レポート「Scheem-D Pitch and Conference 2023 〜生成AIと教育〜」
2024年2月9日に開催した「Scheem-D Pitch and Conference 2023 〜生成AIと教育〜」について、レポートします。
”文部科学省が実施する大学教育のデジタライゼーション・イニシアティブ「スキームD」”
デジタル技術を活用した高等教育(短期大学及び高等専門学校を含む)の進化を加速するた め、文部科学省が2020年度に開始した「大学教育のデジタライゼーション・イニシアティ ブ(以下、スキームD)」の 2023年度最大規模のイベントを開催いたしました。今年度は、 先端テクノロジーとの交わりを深めるイベントを、7月以降複数回開催しており、2023年度の最後となる今回のイベントも、「生成AI×教育」をテーマに登壇者を募集し、12月に、アイデア部門7組、実装部門7組を採択しました。以降、レクチャーや複数回のメンタリング、ピッチリハーサル等を経て、この日、会場(CIC Tokyo)にて、14組が、それぞれが実現したい生成AI×教育の近未来像を披露し、社会実装を進めるためのパートナーや支援者、知見やアドバイスを求めました。
(2023年度大学教育のデジタライゼーション・イニシアティブ(スキーム D)事業は文部 科学省の委託を受けて、CIC Instituteが運営しています。)
アイデア部門は、大学等の教育現場において、学びに作用し学修成果を高める提案、新たなアイデアや技術、もしくは新たな組み合わせや活用方法の提案、 効果検証が可能で横展開が見込まれる提案、といった要件を満たし採択された次の7組(7件)がピッチを行いました。
7組のうち2組は、10月に開催し好評を得たアイデアソンの入賞チームであり、メンバーの強みを発揮し合いチーム内外での切磋琢磨を経て仕上げたピッチに会場は盛り上がりました。
他に、大学生が1人で構想からスライド作成、登壇まで取り組んだピッチ、大学教員が所属大学から外側へリーチするために熱く訴えたピッチ、”学び”の在り方を再定義するような提案等、あらゆる”当事者”がピッチをし、また、コメンテーター(スキームD ステアリング・コミッティ委員)からも各ピッチの構想を深め、広げる質問やコメントが共有されました。
アイデア部門
代表者・ピッチタイトル(ピッチ動画へリンクします)
- 鵜沼 篤 ほか
市立秋田総合病院麻酔科 医長/秋田大学大学院医学系研究科 麻酔・蘇生・疼痛管理学講座 非常勤講師 兼 博士課程
医学教育で大規模な学生間のグループワークを促す AIファシリテーター Co-G - 木村 佐千子
獨協大学外国語学部教授
生成AIを用いたドイツ語学習の新たな展開 - 小塩 篤史
麗澤大学 EdTech研究センター センター長/教授
創造性拡張エンジン Xai - 島 青志
ブルーロジック株式会社 代表取締役社長
生成AIを活用した対話型絵画法(Visual Generative Strategies) - 須藤 覚斗
立教大学 学生
教育をする人とその分野で活躍するワーカーをマッチングさせるサービス - 瀬崎 颯斗 ほか
東京大学大学院新領域創成科学研究科・修士課程
Paper 2 Clip-論文をショート動画化し、学際交流を促すプラットフォームの構築- - 丸山 雅貴
筑波学院大学 経営情報学部 助教
人工知能技術の活用による探究と創造の往還を通じた協調学習の支援
実装部門は、学生の学び・教育現場に新たな視点・活動・効果をもたらす提案、効果検証が可能で、横展開、収益が見込まれる提案といった、アイデア部門よりも実装の確度が高いと見込まれると採択された次の7組(7件)がピッチを行いました。
実装部門
代表者・ピッチタイトル(ピッチ動画へリンクします)
- 長尾 確 ほか
株式会社CYPE Technology代表取締役
生成AIを用いたオンデマンド・インタラクティブアバター講義システム - 岡崎 浩二
株式会社キャリアボット代表取締役社長
次世代型バーチャルキャリアセンター - 川又 尋美
株式会社AIMS 代表取締役CEO
AI技術でウェルネスを実現する 電子瞳孔計「AiLive」 - 佐藤 雄太
株式会社みんがく 代表取締役
優秀な「先生の分身(クローン)」で教育の質を劇的に高める「スクールAI」 - 塩飽 哲生
AwakApp Inc. 代表社員
AIチューターを活用した学習に対する自己効力感及び自己肯定感の向上に関する取り組み - 中村 聡志
株式会社アルゴ式 代表取締役 CEO
データサイエンス教育を支える、生成AIを活用した学習管理プラットフォーム - 早川 世治
ミレー株式会社 代表取締役
EC構築で稼ぐ術を学び、創意工夫し、発展させ、その中から、生き方を探す。「10pxグリッド単位で構築するEC開発プラットフォーム」
イベント会場に設けた展示スペースでは、登壇者のうち数組が展示を行い、参加者は製品や試作品を実際に触ったり、映像やパネル展示を介して登壇者とコミュニケーションを取ったりと、会場を回遊して楽しんでいる様子でした。
スキームDは、新型コロナ感染拡大の中で初年度を迎え、必要に迫られた講義のオンライン化はもとより、学修の質を向上させる提案、大学経営の効率化や教員の負担軽減を目指す提案、学部や科目に特化した個性の強い提案、個別最適化を極めたキャリア支援の提案、テクノロジーを活用した全く新しい”学び”の提案、等々。多様な提案を多数採択し、実装に向けて社会に広く認知されるよう支援をしてきました。今回、登壇した14組は、生成AI等のテクノロジーを大学教育のニーズや課題にぶつける意欲的なピッチを行い、イベント参加者等から多くの関心とコンタクトを得ました。登壇者も、参加者も、関わる全ての方が、高等教育のデジタラーゼーションが数年前とは全く違った速度と質で前進していることを感じた1日だったのではないでしょうか。
スキームDのコミュニティの参画者(スタートアップ、企業、大学教員、教育関係者、学生等)の取組は、本ウェブサイト内「Idea」からもご覧ください。2020年度から2023年度までの採択者を掲載しています。
スキームD 事務局